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北海道科学大学とSpace BD
ISS「きぼう」を活用し超小型衛星を打上げ・放出
北科大、独自の通信システムの実証とこどもの科学技術への興味関心の醸成を目指す
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北海道科学大学(北海道札幌市、学長:川上 敬)とSpace BD株式会社(東京都中央区、代表取締役社長:永崎 将利、以下Space BD)は、北海道科学大学 三橋研究室および宇宙開発研究同好会の学生やIT講座実施団体等が開発する超小型衛星「HMU-SAT2」において、Space BDが国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう」からの超小型衛星放出サービスを提供することで合意し、2022年8月31日付で打上げサービス契約を締結したことをお知らせします。
北海道科学大学 三橋研究室では文部科学省による科学研究費の助成と、総務省による戦略的情報通信研究開発事業SCOPEの委託で、衛星「HMU-SAT2」と、ソフトウェア無線(SDR)1で構成した超小型衛星搭載用・地上局用の無線通信システムを開発しています。
「HMU-SAT2」開発チームは「手のひら衛星で科学技術教育を!」を本プロジェクトのキャッチフレーズに掲げ、独自に開発する衛星と通信システムの宇宙空間での技術実証と、未来を担うこどもに科学技術に対する興味を持ってもらう「きっかけ」の提供を目指しています。
衛星の開発にあたり、三橋研究室で「CamSAT(キャン・サット)プロジェクト」を立上げ、現役大学生、卒業生、そして衛星開発に興味があるエンジニアらが、「HMU-SAT2」を開発しています。長野県で精密機器部品の製造を行う有限会社工房大倉様には打上げ及び開発費用の援助と衛星筐体の製造をして頂いています。工房大倉様と北海道科学大学はHMU-SAT2の開発において包括協力提携を締結しました。
プロジェクト名の一部である「Cam」はCampusから採っており、大学を活動拠点としています。
また、こどもらに科学技術に対する興味を持ってもらうきっかけ提供のミッション達成に向けて、こどもの健全育成のために情報技術の知識普及活動を行っているNPO法人NEXTDAYなどIT講座実施団体とも協働していきます。
今後は、プログラミングおよび電子工作の体験用こどもパソコン「IchigoJam」やMID(レンズを用いない顕微観測装置)を活用した宇宙実験、CubeSatによる衛星コンステレーションを想定した糸電話通信の実験、さらにアマチュア無線の活用体験の場などをこども向けに企画しています。
■衛星の打上げについて
「HMU-SAT2」は1UサイズのCubeSat(10cm立方型、重さ1.33kg)で、SDR技術を導入した無線通信システムが搭載されています。
本プロジェクトにおいて、Space BDはHMU-SAT2の打上げに必要なJAXAによる安全審査等の打上げ準備、技術要求等に関する適合性確認、放出機構への搭載、ISSへの衛星打上げ、ISS「きぼう」からの衛星放出までの一貫型打上げサービスを提供します。HMU-SAT2の打上げとISS「きぼう」からの放出は2024年を予定しています。
北海道科学大学 教授 三橋 龍一のコメント
ISS「きぼう」からの衛星放出サービスの最終年であり、学校法人北海道科学大学創立100周年でもある2024年に超小型衛星「HMU-SAT2」を打上げる機会に恵まれ、関係者各位に深く感謝いたします。2022年度内の打上げサービスの契約をした「HMU-SAT1」は、コロナ禍とイプシロンロケット6号機に搭載して打上げ予定だった「HMU-SATzero」の開発に伴う遅れにより当初の契約期間内での放出ができなくなりましたが、この度Space BD㈱と契約を締結することができました。北海道内外の多くのサポート企業のご支援を受けて開発を行っており、声援に応えるべく開発を行っております。
有限会社工房大倉 代表取締役 大倉正治のコメント
この度北海道科学大学の三橋教授よりお話をいただき「HMU-SAT2」の共同研究開発をさせていただくことになりました。
工房大倉は長野県の自然豊かな土地で小さな町工場で精密機械部品の製造を行っています。以前より地元の工業高校に協力させていただきながら人工衛星に携わっておりますが、今回のプロジェクト参加により更なるステップアップと、将来を担うこどもたちに遠い宇宙が「身近でワクワクする空間」となることを願い、共に学び成長して行きたいと思っております。社内では「下町人工衛星プロジェクト」と銘打って弊社の技術を存分に発揮し、大手企業さんにも一目置かれるような人工衛星筐体の製作を行ってまいります。
Space BD㈱様はじめ関係各位のご協力の下で一大プロジェクトに参加できることを光栄に思い、ものづくりの原点に立ち返り躍進していきます。
Space BD事業開発 鈴木 章互のコメント
この度、北海道科学大学の皆様と共に本プロジェクトに挑戦できることが決まり、大変嬉しく思います。私が初めて、北海道科学大学の三橋教授をはじめとした関係者の皆様から本プロジェクトについてお聞かせ頂いた際に、技術力だけでなくメンバーの皆様の情熱の大きさを感じたことを、今でも鮮明に覚えております。これから、Space BDはパートナーとして、本プロジェクトの成功に向けて皆様と共に挑戦してまいります。
■北海道科学大学の衛星開発について
北海道科学大学は4学部13学科からなる総合大学です。CamSATプロジェクトには、三橋研究室だけではなく、学部・学科の垣根を超えて集まった宇宙好き・モノづくり集団である宇宙開発研究同好会の学生も参画しています。2006年には同団体の前身団体である北海道宇宙連合がHIT-SAT(HO-59)の打上げに成功しました。衛星開発以外にも地域のこどもらに対して宇宙開発に関する啓蒙活動等を行い、宇宙開発の裾野を広げる事にも尽力しております。
■Space BD株式会社について
Space BDは、日本の宇宙ビジネスを、世界を代表する産業に発展させることを目指す「宇宙商社®」です。2017年の創業以来、宇宙への豊富な輸送手段の提供とともに国際宇宙ステーション(ISS)を初めとする宇宙空間の利活用において、ビジネスプランの検討からエンジニアリング部門による技術的な運用支援までをワンストップで提供しています。技術力に立脚した営業力・事業開発力を礎に、多様なキャリアバックグラウンドを持ったメンバーが、宇宙を活用した官民の事業化支援・事業変革、教育分野などに事業を展開しています。
2022年8月現在、衛星取扱い約50件を含め100件以上の実績を重ねています。
社名 | : Space BD株式会社 |
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本社住所 | : 東京都中央区日本橋室町二丁目1番1号 日本橋三井タワー7階 |
代表者 | : 代表取締役社長 永崎将利 |
設立 | : 2017年9月1日 |
事業内容 | : 宇宙における各種サービス事業・教育事業 |
URL | : https://space-bd.com/ |